BS-TBSで平日19:30~報道番組があります。それが「報道1930」。
見ていたら「えっ…」と思うことがあったので書いています。
※3分ほどで読み終わる記事です。
リジェネロンの抗体医薬
1月27日(水)、新型コロナウイルスに関するニュースで、製薬企業「リジェネロン」の抗体医薬が取り上げられていました。
抗体医薬とは…
私たちは、体内に無い異物を排除する抗体というたんぱく質をつくり出して病気を防いでいます。この仕組みを利用して、病気の原因となっている物質に対する抗体をつくり、体内に入れ、病気の予防や治療をおこなうくすりが「抗体医薬」です。
製薬協ホームページより
2020年10月、トランプ元大統領が新型コロナウイルス陽性となりました。そのとき使われたのがリジェネロンの抗体医薬です。この時点ではFDA(アメリカ食品医薬品局)からは未承認の治療法でした。
効果がありトランプ元大統領は回復します。
ちなみに、治療費に約500万円ほどかかったと言われています。
11月にはFDAから抗体医薬の緊急使用許可がおりています。
実験
さらに現在注目されているのは、新型コロナウイルスの治療薬としてかなり効果が高いんじゃないか、ということです。
その実験結果が公表されています。

報道1930より
リジェネロンの抗体医薬を投与された被験者は、感染したとしても全員が無症状で体調の大きな変化はありませんでした。
プラシーボ効果(本来は薬としての効果を持たない物質によって、得られる効果のことです)でないことを証明するために偽物の薬を投与されたグループもあります。こちらのグループには偽物の薬が投与されています。
その結果、23人が感染し、8人に症状が発症、そして1人が死亡しています。
死亡?
番組ではこの事実が説明され、治療薬としてかなり期待できるとニコニコでポジティブな雰囲気で進行していきました。
ただ僕は、「えっ。一人死んでるけど…。」と複雑な気持ちに。
スタジオの雰囲気と僕の感情が違うので、深く考えてみます。
新薬実験を描く「グレイズ・アナトミー」
海外ドラマ「グレイズ・アナトミー」。医療ドラマで2005年からスタートし、17シーズン目に突入しています。
リンク
この中で新薬実験のエピソードがありました。
シーズン7で「認知症」を治すための治療薬の開発過程が描かれます。エピソードが進むと、人体に実験できる段階まできます。
病院に中程度~重度の認知症患者が集まります。
薬は2種類。
「新薬と偽薬」です。
誰がどの薬をもらうかはランダムで決まります。偽薬が投与されれば認知症がさらに進行し、親しい人でも誰かわからなくなってしまいます。
ランダムで投薬されることはもちろん被験者にもしっかり伝えられ、同意も得ています。
そんな中、親しい人物が新薬実験に参加することになります。
ですが、偽薬を引いてしまいます。そこである操作が行われます。
偽薬と新薬のすり替えです…。
これが大問題に発展していきます。
リジェネロンの実験
リジェネロンの実験もきっとグレイズ・アナトミーと同じような実験が行われたのかな、と思っています。
新型コロナウイルスにすでにかかった患者に対して、抗体医薬と偽薬が与えられたんだと思います。
ランダムで選ばれることの説明や、同意もきっと得られていることと思います。
今回の報道では、この部分の説明がゴソッと抜け落ちていたので、しばらくモンモンとしていました。
この報道を聞いたとき、「おそろしいことしてんな…」とさえ思ってしまいました。
そんな訳はないですね…。
ただ、新薬の開発には痛みが伴うということを重く感じてしまいました。
ありがとうございました。