またまた映画でバレエです。今回はインドを舞台にした「ラ・バヤデール」。影の王国がとても有名な場面です。
今回かなり感動しました!
※2019年1月28日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2019年6月8日に再度公開しました。
製作
振付:マリウス・プティパ
追加振付:ナタリア・マカロワ
音楽:レオン・ミンクス
上映時間:3時間18分
キャスト
【指揮】ボリス・グルージン
ニキヤ(神殿の舞姫):マリアネラ・ヌニェス
ソロル(戦士):ワディム・ムンタギロフ
ガムザッティ(ラジャの娘):ナタリア・オシポワ
ハイ・ブラーミン(大僧正):ギャリー・エイヴィス
ラジャ(国王):トーマス・ホワイトヘッド
マグダヴェーヤ(苦行僧の長):アクリ瑠嘉
アヤ(ガムザッティの召使):クリステン・マクナリー
ソロルの友人:ニコル・エドモンズ
【第1幕】
ジャンベの踊り:マヤラ・マグリ、ベアトリス・スティクス=ブルネル
パ・ダクシオン:エリザベス・ハロッド、ミーガン・グレース・ヒンキス
アナ・ローズ・オサリヴァン、ロマニー・パジャック
クレア・カルヴァート、金子扶生
マヤラ・マグリ、ベアトリス・スティクス=ブルネル
リース・クラーク、ニコル・エドモンズ
【第2幕】
影の王国(ヴァリエーション1): 崔 由姫
影の王国(ヴァリエーション2): ヤスミン・ナグディ
影の王国(ヴァリエーション3): 高田 茜
【第3幕】
ブロンズ・アイドル:アレクサンダー・キャンベル
今回注目していたキャストはハイライトつけています。
解説
古代インドを舞台に、一人の戦士をめぐって舞姫と藩主の娘が火花を散らし、陰謀、裏切り、毒殺、横恋慕と濃厚な恋愛ドラマが展開する。婚約式で繰り広げられる華麗な踊りの数々には酔わされ、影の王国で白いチュチュの群舞が一糸乱れぬ動きを見せる静謐で幽玄な世界にはクラシック・バレエの美の極致がある。
戦士ソロルのダイナミックな踊りは男性バレエダンサーにとって高難度で、超絶技巧の限りを尽くしたもの。ソ連から亡命後、国際的に活躍した偉大なバレリーナ、ナタリア・マカロワによる演出は、よりドラマ性を重視しており、『ラ・バヤデール』の決定版と言われている。
あらすじ
古代インド、神殿の舞姫ニキヤと、高貴な戦士ソロルはひそかに永遠の愛を誓う。しかしラジャが娘ガムザッティとソロルを結婚させることを決め、ソロルもガムザッティの美しさに惑わされて誓いを忘れる。
ニキヤに横恋慕をしている大僧正から、ニキヤとソロルの関係を聞いたラジャは、ニキヤを始末することを思いつく。ガムザッティはニキヤにソロルを諦めることを迫るがニキヤは逆上し、ガムザッティもニキヤを亡き者にしようと決意。
ガムザッティとソロルの婚約式でニキヤは踊るが、ラジャ親子の策略で花籠に仕組まれた毒蛇に噛まれて息絶える。
阿片に溺れるソロルは、影の王国で踊るニキヤの幻を見る。ガムザッティとの結婚式で再びソロルはニキヤの幻影に取りつかれる。
神の怒りにより神殿は崩壊。天に上ったニキヤとソロルの魂は永遠の愛の中で結ばれる。
群舞がとてもキレイ
ここから感想です。
とにかく「影の王国」の群舞が恐ろしくキレイでした。外国のバレエ団の群舞はバラバラしていることが多いので、なおさら感動しました。画面越しでそう感じるので、生で観たら鳥肌モノだと思います。
マカロワ版では、カーテンコールに白いチュチュを着た群舞の皆さんが出てこないので、残念。もしカーテンコールに出てきていたらもっと盛り上がったんじゃないかと思います。
映画でバレエの特徴は、幕間に休憩があり、かつドキュメンタリーの映像も入ります。群舞の皆さんのドキュメンタリーを観た後に実際の踊りを観ると良さが倍増しました。
先頭のダンサーは39回連続でアラベスクを行います!
驚いたのは、24人中20人が初めて踊るという事。たしか、ロイヤルバレエ団が「ラ・バヤデール」を上演したのは5,6年前。そこからのダンサーの入れ替わりの激しさを物語っています・・・。
バレエ界は本当に大変です。
下記は World Ballet Day の リハーサル風景のライブ配信です。
前田紗江さんが2番目にいますね。目が行きます。
主要キャストが素晴らしい
主役の3人の存在感が圧倒的です。
ニキヤ:マリアネラ・ヌニェス
ソロル:ワディム・ムンタギロフ
ガムザッティ:ナタリア・オシポワ
今回「ラ・バヤデール」を観て、僕はガムザッティのオシポワにかなり感情移入しました。ニキヤとガムザッティのパワーバランスは非常に重要だと思います。
ガムザッティは若手が起用されることが多いので、ニキヤの存在に負けてしまうパターンが多い。ですが、オシポワ様の存在感はすごかったです。
オシポワはそんなに好みのダンサーではないんですが、ガムザッティの一途な思いがすごく伝わりました。
マリアネラ・ヌニェスの技術力の高さ
ニキヤを演じるマリアネラ・ヌニェスはテクニックが抜群で、今回身体の絞り具合もすごかったです!!
After the show @RoyalOperaHouse Bayadere with @NatOsipova (Nikiya ) @cesarcorrales96 (Solor) the one and only Natalia Makarova and me as Gamzatti tonight pic.twitter.com/czJuDPV6a1
— Marianela Núñez (@MNunezOfficial) 2018年11月6日
腹筋バキバキです。
これは別の日の写真で、マリアネラ・ヌニェスとオシポワが、ニキヤとガムザッティを交換しています。同じ作品で違う役を入れ替えて踊るというのは非常に珍しいです。
とても興味あります。
とにかくマリアネラ・ヌニェスは身体がすごく軽くて、ジャンプが高い!!そして軸の安定感。ルルベでアラベスクで立って、ゆっくりドゥミポワントからアテールへ。この難しいポワントワークを軽々とやってのける。
ニキヤって、自分勝手かもしれない
今まではニキヤは悲劇のヒロインとしてみることが多かったのですが、今回はあまり感じず。ニキヤがただわがまま言ってるみたいに感じてしまいました…。
きっと、この時代は自由恋愛結が難しい時代です。ですが、ニキヤはそれを貫こうとします。ソロルは長いものに巻かれる精神を貫きます。笑
それに納得がいかないニキヤ。身分の高いガムザッティにナイフまで振り上げ、最後は毒を盛られてしまいます。助かるチャンスはあったものの、自由を求めて死を選びます。
その様子を見ているソロルのワディム・ムンタギロフの弱々しさが役にぴったり。
そしてニキヤは第3幕で呪いを発動します…。寺院を壊し、ソロルは死んでしまいます。そして天上の世界で結ばれる…。
たぶん寺院にいたガムザッティや大勢の人も死んでしまったのではないかと思います。
確かに死に値するほど悪いことしてるけど、それをしてしまったらニキヤも同罪なんじゃないか。そう思ってしまった次第です。
僕が思うニキヤ像
第1幕、毒ヘビに噛まれて、セクハラ大僧正に「毒消しを与える代わりに俺のものになれ」という誘いを断ります。今回のマリアネラ・ヌニェスは、いやー、という強いメッセージを感じてしまいました。
僕が納得しているのは、ソロルがこれ以上困らないように身を引くという解釈。また、第3幕の寺院が崩壊するシーンも、マリアネラ・ヌニェスはとても能動的。すごく恨みをもっている感じで、ニキヤによって崩壊がもたらされた感じでした。
僕は、ニキヤを哀れに感じた神々が、寺院にいる人々に天罰を下すという、解釈が自然だと思っています。
ガムザッティがとても一途
一方のオシポワは、ただただ一途にソロルに振り向いてほしい、という感情が伝わります。だからこそ今回、ガムザッティの方が、美しく見えてしまいました。
ま、ソロルが一番悪いんですが。
そのため、今回観終わった後、非常に複雑な気持ちになりました。ガムザッティが全然報われない・・・。ニキヤを殺した罪はもちろん償う必要がありますが・・・。
他のキャストは?
同時上映はキャストがとにかく豪華です。「影の王国」3人のバリエーションにプリンシパルが2人も配されているのはラッキーとしか言いようがありません。
ヴァリエーション2の ヤスミン・ナグディの集中力が高く美しかったです。
そしてそして「影の王国」の完成度がとにかく高くて感動しました。
でも第1幕のソリストたちは、すんごいバラバラでしたね。ソリストが集まるとこうなるか・・・。
ボリショイ版「バヤデール」太鼓の踊り
マカロワ版「ラ・バヤデール」はほとんど男性が出てこないので、そこも物足りなかったです。他のバージョンだと男性が活躍するものもあります。
今までボリショイバレエ団でしか見たことないですが「太鼓の踊り」はすごい好きです。
髪型がイケてませんが…。笑
ボリショイ版を観るとさらに感じるのですが、「バヤデール」は西洋からみた東洋。そのため、東洋人から観ると違和感があります。
どこかで新バージョン作られないかと実は期待しています!!
以上感想でした。
「白鳥の湖」がBSで放送
2月18日(月)【2月17日(日)深夜】
午前0時00分~午前4時10分
以前紹介した「白鳥の湖」がBSで放送します。
要チェックです。
ありがとうございました。
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