30代ってもっと大人だと思ってた

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佐藤亜紀著「スウィングしなけりゃ意味がない」ナチスに反発するドイツ人

第ニ次世界大戦中のドイツ、ハンブルク。ナチスに反抗した若者たちがいた…。

記事を書いているのは…

元劇団四季、テーマパークダンサー。年間100公演ほど舞台を観に行ったことのある劇場フリーク。社割で映画が1,000円で観られたときは毎週劇場へ行っていました。最近はネットで映画三昧。
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※3分ほどで読み終わる記事です。

スウィング・ダンスを調べたい

ダンスの歴史を調べていたとき、スウィング・ダンスにぶつかりました。スウィング・ダンスについてどうしてもわからないことがありました。


Louis Prima - Sing,Sing,Sing (With a Swing)

いまのスウィング・ダンスは社交ダンスの一種であり、この動画のように踊るためには高度なテクニックが必要です。(この動画は1940年代の設定です。ただ1990年代につくらた映画のためダンスのシーンがかなりショーアップされています。)

スウィング・ダンス誕生した当初の1920年代、スウィング・ダンスを誰もが踊っていました。高度なテクニックが必要なはずのスウィング・ダンスをなぜ全員が踊れるのだろうか…、と不思議に思っていました。

そんなとき、佐藤亜紀著「スウィングしなけりゃ意味がない」という小説に出会いました。

本を読んでわかったことがあります。1940年代のスウィング・ダンスは現在のようなカタチではなく、スウィング・ジャズに合わせて踊るダンスということでした。現在に例えると、クラブで音楽に合わせて身体を動かす、という感覚に近いです。当時はスウィング・ジャズに合わせてヘッドバンキングをしていた人もいました。

この本のおかげで当時のスウィング・ダンスについてかなり理解できました。

「スウィングしなけりゃ意味がない」のあらすじ

スウィング・ユーゲント(ユーゲントは若さという意味)という、アメリカ文化にかぶれた金持ちの男の子たちが主人公です。

下の写真がスウィング・ユーゲントの少年です。この時代、ナチを支持する少年は短パンをはき、ボーイスカウトのような格好をしていました。それと真逆のスタイルです。

スウィング・ユーゲント

「The national WWⅡ museum」より

ナチスを軽蔑し、とことん反抗していく主人公たち。刑務所に入れられることもあれば、ユダヤ人の親戚が連れて行かれてしまうこともあります。空爆されることもあれば、家族を失ってしまうこともありました。

それでも主人公たちのそばには必ずジャズ音楽がありました。

戦争が激しくなると悲劇の色も濃くなりますが、それでもたくましく反抗していきます。ジャズのレコードをラジオからコピーして売ったり、ジャズミュージックのパーティーを開くこともあります。生きていくためにはナチスに協力しなければいけないときもありました。

そんなときも主人公たちは常にナチスをどう出し抜くか考えています。そんなスウィング・ユーゲントたちの物語です。

ナチスに対抗するドイツの若者たち

当たり前の話ですが、戦争中ナチスに抵抗するドイツ人がいました。そのことにハッとしてしまいました。当時はナチスを支持する人、十分わかった上で付き合っている人、反抗する人がいたと思います。

史実をもとに、作者はかなりリサーチをしています。細部までしっかり描写されていて、とてもリアルに感じます。

そして戦争中もジャズ音楽やダンスを求める人々。この本からは人間の根源的な欲望の強さ、芸術の必要性を思い出させてもらいました。

とくに最近はコロナやオリンピック問題で、芸術やスポーツって必要なんだろうか、と思うことが多かったです。そんな気持ちをガラッと変えてくれました。

深く印象に残る文章

佐藤亜紀さんの文章はとても軽快で、重い話もジャズのようにおしゃれに響きます。

現在にも通じるテーマで、戦争時代の話ですが内容にかなり惹き込まれました。そして印象に残るフレーズがいくつもありました。

ここからは少しネタバレしています。

選ぶということ

工場を経営する主人公のお父さん。空襲があっても工場が心配で疎開することができません。当然お母さんは逃げたいと思っていて、お父さんに工場より家族を選んでほしいと思っています。

そんなとき主人公はお母さんにこう話します。

「ぼくにも、母さんにも、ぼくや母さんの世界があるみたいに、父さんには、父さんの世界、ってのがあるんだよ。工場も、ぼくたちもその一部だ。どちらか選んでどちらか捨てることになったら、それは世界を半分に割ってどちらか捨てる、ってことになる。とんでもない悲劇だ。そんな選択をさせちゃ駄目だ。」

お父さんの想い

主人公はスウィング・パーティーを主催し、大騒動になります。そして、お父さんに突き出され、刑務所に入ることになります。

刑期を終えたあとも主人公はナチスに抵抗をつづけます。主人公は父親を軽蔑しているのですがふと気づきます。もともとアメリカかぶれになったのはお父さんの影響だったと…。お父さんはジャズが大好きで、アメリカ文化が大好きです。

お父さんが主人公の抵抗活動をとめないのは、実は同じ気持ちを持っているからかもしれない…。ただ、お父さんには経営者という立場があり、表立って応援することはできない。だからこそ、主人公の行動を黙認しているのではないか、と気づくのです。

このシーンはしびれました…。

スウィングしなけりゃ意味がない

本の題名はジャズの名曲からきています。この本は各章の副題にジャズの名曲が名付けられていて、内容とリンクしていきます。

作者のジャズの知識の深く、文章からジャズの音楽が流れてくるようでした。


Ella Fitzgerald and Duke Ellington "It Don't Mean A Thing (If It Ain't Got That Swing)"

ということで、デューク・エリントンとエラ・フィッツジェラルドによる「スウィングしなけりゃ意味がない」の映像です。

昔のジャズは今に比べて本当にテンポが速くて好きです!

「スウィング・キッズ -引き裂かれた青春-」

同じテーマでロバート・ショーン・レナード、クリスチャン・ベイルによる1993年公開の映画があります。一番はじめに紹介した映像は「スウィング・キッズ -引き裂かれた青春-」からの映像です。

こちらの作品が本と同じテーマで、すごく気になっています。廃盤になっているみたいなので、探してみようと思います。

今回は佐藤亜紀著「スウィングしなけりゃ意味がない」のご紹介でした。

単行本で800円ほど。

ぜひぜひチェックしてみてください。
ありがとうございました。