ジャズ男(ダン)ス

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クリスタル・パイト振付「フライト・パターン」ロイヤルバレエ団

フライトパターンは今年観た中で1番の作品だったので、単独にしました。

Part1はこちらからどうぞ。 

 

僕は大手テーマパーク、劇団四季でジャズダンサーをしていました。今もフリーのダンサーとして活動しています。舞台鑑賞、特にバレエ鑑賞が大好きです。

 

※3分ほどで読み終わる記事です。(youtubeの映像が5分ほど途中あります)

 

「フライト・パターン」

クリスタル・パイト振付「フライト・パターン」ロイヤルバレエ団

映画.comより

 

今回、圧倒的に好きだった作品です。

【振付】クリスタル・パイト
【音楽】ヘンリク・ミコワイ・グレツキ
【指揮】ジョナサン・ロー

【出演】
クリステン・マクナリー、マルセリーノ・サンベ
カルヴィン・リチャードソン、ジョセフ・シセンズ
イザベラ・ガスパリーニ、ベンジャミン・エラ、アシュリー・ディーン

(ソプラノ)フランチェスカ・チエジナ

 

「フライト・パターン」は、カナダ出身の女性振付家クリスタル・パイトによる2017年初演の作品。

パリ・オペラ座に振付けた「シーズンズ・カノン」がブノワ賞を受賞するなど、今最も注目を集める振付家の一人で、アソシエイト・コレオグラファーを務めるNDT(ネザーランド・ダンス・シアター)の6月に予定されている来日公演でも作品が上演される。

「フライト・パターン」は、戦乱から逃れようと困難な旅を続ける難民たちの姿を描いたパワフルで心に訴えかける作品で、ローレンス・オリヴィエ賞を受賞するなど高い評価を得た。

パイト作品に多く見られる群舞を巧みに使い、36人のダンサーたちが忘れがたい印象を残す。

 

音楽はグレツキ作曲、交響曲第3番「悲歌の交響曲」第1楽章


ポーランドの作曲家、ヘンリク・ミコワイ・グレツキによる作品です。第3楽章まであり、「フライト・パターン」では第1楽章が使用されています。楽章ごとに副題がついています。

第1楽章「私の愛しい、選ばれた息子よ、自分の傷を母と分かち合いたまえ…」
第2楽章「お母さま、どうか泣かないでください…」
第3楽章「わたしの愛しい息子はどこへ行ってしまったの?…」

第2楽章はナチス時代、ユダヤ人の収容所の壁に書かれた娘から母への言葉がもとになっています。「フライト・パターン」で第2楽章は使用されていないものの、作品の内容とかなりマッチしていると思います。

ひたすら繰り返される音楽


コントラバスの深い音から始まり、同じフレーズがひたすら繰り返されます(カノン)。ですが楽器がどんどん加わることにより印象が変わってきます。低いコントラバスから始まった音に、チェロ、ビオラが加わり、ヴァイオリンの高音が重なると、美しい音楽に!! そして、ソプラノ歌手のソロが入ってきます。

映画では、第1楽章は指揮者のジョナサン・ローの幕間の解説がとてもわかりやすかったです。

 

群舞の持つパワーの素晴らしさ


途中、ソロがあったりするので、キャスト表に何名か名前が載っていますが、この作品は36人のダンサーが同列の作品です。

作品のテーマが重いのですが、この36人で創り出す世界観に圧倒的に惹き込まれてしまいました。

 

振付家のクリスタル・パイトのインタビューです。


とても素敵なインタビューで、彼女の人柄の深さを感じます。意訳ですが、全訳しています。


「私はこう感じるんです。私には作品を創作することでしか今の社会問題について対処する方法がないと。 

この作品は音楽の選曲から始めました。選んだのは、グレツキ作曲の交響曲第3番「悲歌の交響曲」の第1楽章です。というのも、私を含め人間は日々の生活で忙しすぎると感じこの作品を選びました。忘れがちですが、世界のどこかでは人道的危機も起こっているしや、難民の問題が起こっています。

曲を聴いたときに、この作品を正しく表現できる器だと感じたからです。

作品名は「フライト・パターン」で2つの意味があります。特に「フライト(flight)」という言葉に惹きつけられました。1つ目の意味は「逃げるのが不可能である困難な状況から脱出すること」、二つ目は「希望や可能性、自由を求めること」。

ダンサーは36人ととても多いです。全員がとても素晴らしく誠実に作品と向き合っています。今行っているのは、振付をもう一段、二段と昇華させる作業で、限界を押し上げています。

これは群舞の作品です。ダンサーそれぞれ個性がありますが、36人が集まるとまるで1匹の大きな獣のようになるのです。ダンサーが個性的であると同時に、気持ちをひとつにすることで36人が一体になる瞬間があり、感動してしまいます。

この作品をつくるうえで、とてもおもしろいのは、どう大きなグループの気持ちをそろえていくかという点です。振り付けでは、タイミングや間、踊りのスピードすべてを調整していきます。

でも完璧にできているかというとまったくそういう訳ではありません。ただ振付師なのでそれを表に出すことはできません。内心はパニックになっていることもあるし、どうしたらいいかわからないこともよくあります。

それでも私は自分の才能を信じています。何か新しいものを作るときは、自分の弱さを見つめなければいけないし、不安定にもなるし、とてつもなく不安になることもあります。

私は作品を作る際、振付だけでなく、すべてに関わりたいと思っています。というのも他の分野の人たちと一緒に作り上げることがとにかく大好きだからです。

芸術とは人間らしさを常に持ち続けるために必要なものだと思っています。人々をつなげるものであってほしいし、コミュニケーションを促すものであってほしいです。

この作品はとても政治的ですが、正直私にとってテーマはどうでもいいことで、人生において押し潰されそうになったときにどう対処するかという思いがあります。私自身、日々のプレッシャーに対処できているかはわかりません。でも一日の終わりにダンスを通してものごとを考えると、希望を感じるのです。ダンスを通すと物事がとてもはっきり見えるのです。だから、私は作品づくりを続けていくのです。」

 

現代芸術としてのバレエ

 

息をひそめながら、じっくりと見る作品です。バレエでここまで重いテーマを扱うことはかなり珍しいです。

36人のダンサーが同じ思いを持って踊る一体感がすごい作品でした。振付のクリスタル・パイトにダンサーが敬意を払い、全員が彼女の作品を表現することを第一に考えている作品だと思いました。

ダンサーひとりひとり、しっかりと個性があります。ですが、全員が一緒に踊ると、ひとつの波のような迫力があり、1+1=2ではなく、1+1が2以上の質を生み出しています。

クリスタル・パイトのメッセージが痛いほど伝わる名作です。かなりおススメの作品です!!

 

どうもありがとうございました!!

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たけだ