前半に引き続き、後半戦です。今回も長いです。
指揮:ワレリー・オブジャニコフ、ロベルタス・セルヴェニカス
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
ピアノ:フレデリック・ヴァイセ=クニッテル(「ソナチネ」「椿姫」)
◆上演時間◆
第3部 16:20~17:10
休憩 10分
第4部 17:20~18:20
休憩が短い!
第3部
「ロミオとジュリエット」より 第1幕のパ・ド・ドゥ
メリッサ・ハミルトン
ロベルト・ボッレ
振付:ケネス・マクミラン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
プロコフィエフ再び!ガラ公演の王道中の王道ですが、やっぱり欠かせない作品です。
今日のナンバーワン!!
ロベルト・ボッレは結構苦手なダンサーで、全幕の「ロミオとジュリエット」も観たことありますが、すごいナルシスティックだな~、と思っていました。ですが、今回は素晴らしかったです。メリッサ・ハミルトンの若々しく溌剌とした踊り、衰えを全く感じさせないロベルト・ボッレ。何より二人のパートナーシップが相乗効果を生んでいるように感じました。
マクミラン版の、ジュリエットがロミオにリフトをされながら足を打つという振りが割愛されていことだけ残念!
マイベストシーン!
序盤、ロミオのソロが終わり、ジュリエットがロミオにサポートされ足をロン・ドゥ・ジャンブするところ、ここが大好きです。ワクワク感が半端なかったです!
悲劇に突き進むことも忘れさせるほど、愛と喜びに溢れるパ・ド・ドゥ。全身で踊る二人にブラボーでした!!
「ジュエルズ」より “ダイヤモンド”
ミリアム・ウルド=ブラーム
マチアス・エイマン
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ふたりをまだ若手だと思っていたことを反省。とても華やかで、威厳があり、衣装と相まってキラキラ感がすごかったです。マチアス・エイマンを初めて観たのは、パリオペラ座が「パキータ」を持ってきた時です。その時も顔が小さくて、群舞の一員として他のダンサーと同じ踊りをしているのに、とても目立っていました。エトワールになる前から注目してた~、と言っても嘘にしか聞こえないんですが笑
ミリアム・ウルド=ブラームは鳩胸という印象でしたが、今回は全く感じませんでした。二人のバランスもいいし、作品選びもいい。センスが光っていました。感動です!!
「マノン」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
アリーナ・コジョカル
ヨハン・コボー
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ
本日初のカーテンコール2回。僕は「そこまでかな…」という印象。昔は「沼地のパ・ド・ドゥ」と呼ばれていたこの作品。このネーミング、実は好きなので、復活してくれないかな~、と願っています!
「マノン」は英国ロイヤルバレエ団の「映画でバレエ」で最近観た作品です。次の作品に出演するサラ・ラムが主演。素晴らしかったのはもちろん、マノンに初めて感情移入できました。結構、自業自得じゃん、と思うことが多いです。とにかく、サラ・ラムの残像が影響しています。
コジョカルは最大限で踊るので、瀕死の状態のはずなのに、時々すごくイキイキしてる時があるように思います。ヨハン・コボー久々に観ました。この二人のパートナーは落ち着きます。
「アポロ」
サラ・ラム
フェデリコ・ボネッリ
振付:ジョージ・バランシン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
3幕の流れからすると、地味で残念。ストラヴィンスキーのこの曲が好きなので、プラス要素です。この2人からは人柄の良さ、ストイックさ、丁寧さを感じます。自分のスタイルを確立している嘘のない踊り。好きです。
「椿姫」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
アンナ・ラウデール
エドウィン・レヴァツォフ
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:フレデリック・ショパン
ノイマイヤーの作品をハンブルクバレエ団のダンサーが踊るとやっぱりスゴイ!モタモタ感がまったくなく、魅き込まれました。アンナ・ラウデールは美しい。マルグリットの葛藤を丁寧に演じていて、全幕を観たことがない人でも理解できたと思います。エドウィン・レヴァツォフの髪型もよかったです。髪もドラマチックに踊っていました。「黒衣のパ・ド・ドゥ」という名前、復活希望です。
第4部
「じゃじゃ馬馴らし」
エリサ・バデネス
ダニエル・カマルゴ
振付:ジョン・クランコ
音楽:ドメニコ・スカルラッティ
編曲:クルト・ハインツ・シュトルツェ
ダニエル・カマルゴの独壇場という感じ。とても華やかなダンサーです。あとワイルドで髭が似合う。この役にぴったりです。シュツットガルトバレエ団から移籍してしまったのが惜しい!たぶん途中のパ・ド・ドゥと最後のパ・ド・ドゥをつなぎ合わせていたと思います。
「じゃじゃ馬馴らし」好きな作品です。クランコの振付も独特で、とても雄弁な作品だと思います。
ただ・・・
この作品を完全に好きになるには無理やり良い解釈をしないと難しい。
【内容】
お姉さん(キャタリーナ)が結婚していないため、結婚ができないモテモテの妹。妹の3人の求婚者がお姉さんにワイルドな男(ペトルーチオ)をあてがい結婚させようとする。今回のパ・ド・ドゥはは出会いのシーンなのでとてもコミカルです。
で、話が進んでいくと、二人は結婚するのですが、キャタリーナはじゃじゃ馬のまま。それをどうにかしようとペトルーチオが動き出します。家に向かう時、雨が降っていても馬にのせてあげない。食事をろくにさせない。睡眠をとらせない・・・。とにかくひどい仕打ちをします。文章に起こすとあふれ出るDV感…。
そこから、急にキャタリーナがペトルーチオに愛情を見せ始めます。生きるためなのか?この理由がイマイチわからないんですよね。表面だけ見ると、生きるために従順になることを選択した、というように見えてしまう。
そうじゃない解釈・・・
信用できる人間を見つけた、ということでしょうか。信用できる人を前にして、自分を無理して大きく見せる必要がなくなった。のか?
途中まではすごく面白いんですが、最後の方で一気に冷めてしまいます。少し台本を改訂してほしいと毎回思ってしまいます。
「ヌレエフ」より パ・ド・ドゥ
マリーヤ・アレクサンドロワ
ウラディスラフ・ラントラートフ
振付:ユーリー・ポソホフ
音楽:イリヤ・デムツキー
ふたりのお互いへの信頼感がすごかったです。この二人はカーテンコールでもお茶目で、なんか良かったです。この作品は新作で、ボリショイでしか観られない作品ですが
とても興味を惹かれました。ウラディスラフ・ラントラートフの髪型がとてもヌレエフ的でした。
ヌレエフはロシアでは欠かせないダンサーでやっぱり偉大な人物だったんだな、と再確認。ただ短くて、物足りなかったです。
「アダージェット」
マリア・アイシュヴァルト
アレクサンドル・リアブコ
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:グスタフ・マーラー
今回マライン・ラドマイカーの代役としてアレクサンドル・リアブコが登場。この2人が一緒に踊る姿が観られるなんて本当に幸せです。きっと日本で一緒に踊る姿を観られるのは最後だろうな~、と思うだけで、目頭が熱くなりしました。
マリア・アイシュヴァルトがとにかく若々しくて驚きました。二人とも体力の衰えが全くないし、音楽とのシンクロも非常に鋭い。
マーラーのこの曲を聞くと、終わりを連想します。とても美しく、終わりを感じられる曲。物悲しいのに、希望がある。またこの二人が踊っていることで、胸を締め付けられる苦しさ。きっとあと少ししか観られないんだろうなー、という切なさ。それなのに美しい。非常に複雑な気分になりました。
カーテンコール、もう一度呼びたかったです。
「オネーギン」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
アレッサンドラ・フェリ
マルセロ・ゴメス
振付:ジョン・クランコ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
本日2度目の、カーテンコール2回の作品となりました。まさかアレッサンドラ・フェリをもう一度舞台で観られるとは思わなかったので、1番楽しみにしていました。踊りを観られる奇跡。とはいえ、以前観た方がよかったな~、と贅沢なことを思ってしまいました。マルセロ・ゴメスは大好きなダンサーです。アクの強いヴィシニョーワと一緒に踊っていても負けない存在感。今回、その毒々しい感じがなかったのが残念でした。
あとは年齢設定としても説得力が足りなかった。フェリの方が年上にみえてしまった。この作品ではオネーギンが年上であることが重要だと思うのでここもダメでした。
でも拍手はスゴかったです。
「ドン・キホーテ」
マリア・コチェトコワ
ダニール・シムキン
振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス
これはシムキン君の一人舞台でした。世界バレエフェスティバルのトリはやっぱりドンキです。コチェトワにもう少し頑張ってほしかった。バチバチするくらいのテクニック合戦に期待してしまいます。
毎回最後は若手のダンサーが技をこれでもか!と披露する。これを期待してしまいます。シムキン君はランベルセが相変わらずの美しさ。回転力と柔らかさを持つ素晴らしいダンサー。顔も全く変わらない。サラファーノフに続くとっちゃん坊やですね。
今回最大の拍手でした!!!!!
終わり
振り返りができて良かったです。最近はガラ公演、全然観ていませんでしたが、やっぱりイイですね。今回は眠気もなく、全力で観ることができたのも自分の成長を感じました。
どっぷりバレエ鑑賞していた時のダンサーたちがどんどん引退してしまい、今回観に行くか迷っていましたが、行って正解でした。ダンサーたちの進化、表現の広がり。
日々努力を続けるダンサーは本当に素晴らしい職業です!!
3年後も楽しみです
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